長い人生です。色々な経験をさせられ、その経験からたくさんの学びを受け取らなくてはいけません。ですが、時にどう考えても理不尽に思えたり、苛立ちを感じる経験も多々あります。
先日、黄月のポンコツ君(10歳の軽自動車)が大破しました。信号無視をして来た自動車と衝突したのです。黄月の大切な相棒が突然居なくなった寂しさを噛みしめています。
10年も乗った軽自動車だから、替え時で丁度良かったんじゃない?と友人に言われました。軽自動車の耐用年数は既に過ぎているポンコツ君でしたから、人様から見ればそのように感じるのでしょう。
でも、黄月にとってはとっても大切な相棒だったのです。ポンコツ君が我が家に来た時はまだ波乱万丈の波に乗り切れなくて、苦しい辛い日々を送っていたことを思い出します。
黄月はポンコツ君の前に超高級普通自動車に乗っていました。湯水の如くガソリンを振りまいて通勤をしていたのです。分不相応の自動車に乗り、大切な給料の大部分を消費していました。
ポンコツ君に「これからは分相応の生活をしよう」と言う思いを託したのです。そして大切に乗り続けました。境涯も徐々に引き上がり、上手くいく流れに乗り始めているな、と感じさせてくれたのもこのポンコツ君のお陰なのです。
ポンコツ君に乗り始めて、祖母、姉、父、叔父、伯父と亡くしました。それぞれの思い出の詰まった大切な相棒への感謝の気持ちは言葉に表せないくらい大きいのです。
境涯が引き上がり、そろそろポンコツ君も買い替えの時期が来たと感じていても、大切な相棒と離れることができなかった黄月です。買い替えた方が良いと思いつつも、修理とメンテナンスを受け続け、傍に置き続けました。
突然の別れでした。大きな交通事故であったにも関わらず相手も黄月も無傷でした。最後までポンコツ君は黄月を守ってくれました。
「ポンコツ君、今日もよろしくお願いします。」と声をかけてキーを回すのが日課でした。今はレンタカーに乗って通勤しています。どんなに綺麗なレンタカーに乗っていても、ポンコツ君のようにやさしく包んでくれるような安心感は感じられません。
買い替えの為にたくさんの軽自動車のパンフレットが届けられました。選べと言われても、なかなか選べないのです。この連休は軽自動車選びで大忙しです。いつまでもレンタカーを借りることはできません。でも、黄月の頭の中にはまだポンコツ君が居ます。全損で修理ができないと分かっていても、忘れられないのです。
信号無視してポンコツ君と衝突したのは後期高齢者の運転する軽自動車でした。衝突する直前に、高齢者マークが見えました。黄月は慌ててポンコツ君から飛び出して、相手の車にかけよりました。
するとその後期高齢者はただブルブルと震えていました。その姿を見た時に黄月の怒りの気持ちは消え去りました。警察に通報し、この震えて動けなくなった高齢者の介護をしました。興奮と動揺で自分の名前も言えない加害者を黄月は責めることはできませんでした。
朝の通勤途中の出来事です。事故の直後は頭の中が真っ白になったのが本音です。これからどうしよう?『鉄の女』と呼ばれる黄月でも、慌てることや不安に感じることはあります。
ですが事故の直後にポンコツ君を見た瞬間、ポンコツ君の大破した状態を見た瞬間に感じたのです。『黄月はやっぱり守られていたんだ。』と感じるだけの大きな愛の感覚でした。それ程までにポンコツ君は大破していたのです。なのにお互いに無傷で済んだことは奇跡なのです。
人でも物でも愛情を持って大切に扱えば、きちんとその気持ちに応えてくれるのです。そのことをあらためて感じました。黄月が事故の報告を勤務先に入れると、職場の上司が駆け着けてくれました。自分の仕事を放ってまで、現場に駆け着けてくれたのです。2種類の愛情を考えさせられる出来事でした。
人でも物でも真摯に付き合う、真面目に付き合っていれば必ず自分の人生にとってプラスに作用することを実感させられました。
日々の忙しさに愛情と言う言葉を忘れがちの黄月でした。悲しい結果には違いありませんが、この出来事からもまた大きな学びを得させていただいたと感謝しています。



